事業再構築補助金の最終回となる第13回の公募が先日発表されました。
補助金を活用することで経営、財務面の助けになったり、ビジネス速度を加速化させることにも繋がるので興味がある方は是非検討して頂ければと思います。
但し、補助金は助成金とは異なる特徴があります。
条件に適合し、必要資料を揃えたら基本的に受給することが可能な助成金と異なり、補助金の場合は事業計画などに対する審査があります。
また予算枠などもあるので、例え素晴らしい事業計画ができたとしても相対評価として他社の事業計画のポイントが高かった場合は不採択となってしまいます。
事業計画書のレベルが同じ場合は加点ポイントや減点ポイントが採択に響いてくるかもしれませんので下記にご紹介します。
対象が限定されるケースは除いています。
ハードルの目安も記載していますが公式なものではないのでご了承下さい。
ポイントとしては無理のない範囲で加点を狙うことが良いかと思います。
加点ポイント
コロナ借換加点 【ハードル 低】
コロナ禍で抱えた債務の借り換えを行った事業者に対する加点。
対象となるコロナ借換保証や貸付は複数あるので詳細は公募要項や各種関連ページをご確認下さい。
(1)伴走支援型特別保証(コロナ借換保証)
(2)コロナ経営改善サポート保証
(3)新型コロナウイルス感染症特別貸付
(4)生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
(5)新型コロナ対策資本性劣後ローン
(6)生活衛生新型コロナ対策資本性劣後ローン
(7)[新型コロナ関連]マル経融資
(8)[新型コロナ関連]生活衛生改善貸付
(9)[新型コロナ関連]沖縄雇用・経営基盤強化資金 等
対象となっている場合には証拠書類を用意するだけなのでハードルとしては高くないとかと思います。
但し、「応募申請時において、既往債務を借り換えていることが必要で過去に利用した実績があっても、完済している場合は対象になりません。」と書かれています。
既往債務の借り換えとは具体的には下記のようなケースです。
例、
すでに日本政策金融公庫から金利2.5%で1千万円を借りている
→【新型コロナウイルス感染症特別貸付】1千万円を新規で借りる
現在すでに借りている1千万円と新規借入分の1千万円、合計2千万円をすべて無利子にすることができます。
経済産業省が行うEBPMの取組への協力に対する加点【ハードル 低】
経済産業省が行うEBPM(エビデンスに基づく政策立案: Evidence-Based Policy Making)の取組に対して、採否に関わらず、継続的な情報提供を行うかどうか。
例えば、補助金を活用して行った事業が、売上や雇用、地域経済にどのように貢献したかなどのデータ提供を行ったり、経済産業省または関連機関から依頼される調査やアンケートに協力することが求められます。
事後の対応になるので申請ハードルは低いかと思います。
パートナーシップ構築宣言を行っている事業者に対する加点【ハードル 中】
※事業類型(A)(B)が対象。
「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにおいて宣言を公表している事業者。(応募締切日時点)
パートナーシップ構築宣言は、企業間の取引適正化や共存共栄を目的とした経済産業省の取り組みです。
特に、大企業が中小企業・小規模事業者と連携し、取引価格の適正化や生産性向上、共通価値の創出を進めることを重視しています。
内容的には下請法の対象となる資本金1000万円を超える事業者が対象のような形ですが、中小企業や小規模事業者でも企業間の取引の適正化や、サプライチェーン全体の生産性向上に賛同する意志を示すことで宣言は可能なようなので自社の取組を発信しましょう。
但し取引適正化や生産性向上の具体的な取り組みを記載する必要があり、ポータルサイトにも掲載されますので熟慮が必要です。
健康経営優良法人に認定された事業者に対する加点【ハードル 高】
令和5年度に健康経営優良法人に認定されていること。(応募締切日時点)
申請期間が1年に1回と限定されており、審査料が必要です。
審査にも半年ほどかかり新規で申請するには今回の事業再構築補助金は対象外となってしまいます。
大幅な賃上げを実施する事業者に対する加点 【ハードル 低】
市場拡大要件を満たして事業類型(A)に申請する場合・事業類型(B)が対象。
事業実施期間終了後3~5年で以下の基準以上の賃上げを実施すること(賃上げ幅が大きいほど追加で加点)。
1.給与支給総額年平均成長率3%
2.給与支給総額年平均成長率4%
3.給与支給総額年平均成長率5%
証拠書類を用意する必要がありますが、今後の取組に対する目標設定なので申請ハードル自体は高くありません。
但し人件費等の経営的な負担などは上がる為今後の事業計画を見据える必要があります。
また、加点要件が未達になったしまった場合は今後の補助金に対する大幅な減点材料になってしまいます。
事業場内最低賃金引上げを実施する事業者に対する加点 【ハードル 低】
事業類型(D)が対象。
事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を以下の水準とすること(水準が高いほど追加で加点)。
1.地域別最低賃金より+30円以上
2.地域別最低賃金より+50円以上
証拠書類を用意する必要がありますが、今後の取組に対する目標設定なので申請ハードル自体は高くありません。
但し人件費等の経営的な負担などは上がる為今後の事業計画を見据える必要があります。
また、加点要件が未達になったしまった場合は今後の補助金に対する大幅な減点材料になってしまいます。
ワーク・ライフ・バランス等の取組に対する加点 【ハードル 中】
下記いずれかに該当する。
・えるぼし1段階目~3段階目又はプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けている者
・「女性の活躍推進データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している
参考:厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」
・くるみん、トライくるみん又はプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた者
・従業員数100人以下であって、「一般事業主行動計画公表サイト(両立支援のひろば)」に次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している者
参考:厚生労働省「一般事業主行動計画公表サイト(両立支援のひろば)」
認定に関してはハードルが高いですが、計画の公表自体は可能かと思います。但し、ポータルサイトにも掲載されますので熟慮が必要です。
技術情報管理認証制度の認証を取得している事業者に対する加点 【ハードル 高】
技術情報管理認証制度の認証を取得していること。(応募締切日時点)
参考:経済産業省「技術情報管理認証制度」
数十万円の費用と様々な対策が必要になってくるため補助金の加点目的にするにはハードルが高いものになります。
成長加速マッチングサービスに登録している事業者に対する加点 【ハードル 低】
「成長加速マッチングサービス」において会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者
現時点でまだ公開前のポータルサイトです。
申請式の登録となっており、事業再構築補助金以外にも今後の補助金の加点対象になることも考えられる為、
外部組織とのつながりに抵抗がない場合は登録してみましょう。
減点ポイント
【一定の減点】・過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている又は交付決定を受けている場合
【一定の減点】・また必要書類である「別事業要件及び能力評価要件」の説明が至らない
【減点の対象】 ・事業による利益が第三者のものになる事業に取り組む場合。ビジネスモデル上、補助事業の実施により発生した付加価値額の大部分が、補助事業者(従業員や株主を含む。)以外にわたる事業等
【大幅な減点】・過剰投資の抑制として特定の期間に、類似のテーマ・設備等に関する申請が集中してなされている場合
まとめ
補助金によっては色々な加点項目、減点項目があります。
では、採択されるためにも無理して色々な加点項目を狙う必要があるかというとそうとも限りません。
特に賃金に関する加点項目は申請ハードルとしては高くありませんが、それで採択された場合、人件費負担が今後の経営計画に大きな影響を及ぼす場合があります。
また賃金以外にも加点要件を達成できなかった場合、今後他の補助金(ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金 等)を申請する際に大幅な減点項目となってしまうので慎重な検討が必要になります。
とはいえ、数多い申請の中で同じ評価点数が複数あると想定される場合は加点を得ることで一歩抜け出すことができるので無理のない範囲で加点を狙っていきましょう。
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