SDGsとは
SDGsは国連が「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で示した2016年から2030年までの国際的な持続可能な開発目標です。
アルファベットそのままに読むとエス・ディー・ジー・エスになりますが、Sustainable Development Goalsの略であり最後はジーエスでなくジーズと呼ぶのが正しいです。
SDGs17のゴール
SDGsは大きく分けると「社会」「経済」「環境」の側面及びそれらの「枠組み」を複数の分野に分けておりそれぞれの目標、17ゴールが定められています。
また17の目標達成に向けて具体的な課題として169のターゲットが設定されており、指標も232策定されています。
1:貧困
あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる
2:飢餓
飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養の改善を実現し、持続可能な農業を促進する
3:保健
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
4:教育
すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
5:ジェンダー
ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う
6:水・衛生
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
7:エネルギー
すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
8:経済成長と雇用
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
9:インフラ、産業化、イノベーション
強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
10:不平等
国内及び各国家間の不平等を是正する
11:持続可能な都市
包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
12:持続可能な消費と生産
持続可能な消費生産形態を確保する
13:気候変動
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
14:海洋資源
持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
15:陸上資源
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
16:平和
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
17:実施手段
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
SDGsの企業メリット
SDGsは国連全加盟国による国際的、全世界的な目標です。言わば国家間の約束事であり国家の取り組みです。
では何故一企業がメディアやCMで取り組みを表明しているのでしょうか。
それは国は企業の集合体ともいえ、SDGsは個人を含め誰一人取り残さず持続可能な開発を行っていくことを目標に掲げているため、理念上は企業もSDGsの達成に重要な役割を担っていると言えます。
ただ、企業にとっては持続的な経営を行うには利益を上げる必要もあるので積極的に推進するには負担だけではなく、メリットも欲しいところです。
SDGs取り組みによるメリットは主に下記のようなことが挙げられます。
1、企業イメージの向上で売上向上
現在メディアやCMでもSDGsのことが取り上げられるようになり、一般消費者にも浸透し始めています。SDGsに積極的に取り組んでいるということで企業イメージ、ブランド価値の向上を図ることができ結果的に売上の向上が期待できます。
2、採用活動のプラス効果
採用活動においてもSDGsの一般への広まりによるイメージアップにより求人募集数が増えるなどプラスの効果が期待できます。
3、社会課題の解決貢献による社員のモチベーションアップ
人は感情をもった社会的存在であり、他者から認められることに喜びを感じます。SDGs=社会的課題に所属している企業が取り組み、その解決に自分も貢献できていると感じることは社員のモチベーションアップに繋がり生産性の向上や定着率アップに繋がります。
4、取引先企業との関係性維持、向上による持続的発展
上場一部企業1400社で構成された経団連が2017年にSDGsを行動憲章に盛り込んだことにより大企業でSDGs取り組みへの機運が高まりました。
上場企業含む大企業と呼ばれる企業は全体の0.3%に満たない数ですが、関連するステークホルダーも含むと大きな割合に上ります。
今後SDGsに取り組む企業が増えていき取り組まない企業が取り残されるという状況になると、取り組まない企業は取引先から外されるということも起こりかねないので今後の持続的発展の為にも取り組みの為の姿勢が大事になります。
5、新たな資金獲得、ビジネスチャンスの創出
SDGsを取り組むことにより今まで関係性の薄かった自治体や行政、企業などとの関係性が生じ新しいビジネスチャンスの創出機会が訪れます。
また目立った活動によってはESG投資先として資金獲得のチャンスも生まれます。
ESGはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の略で投資家にとっては環境や社会、企業統治を軽視して短期的な利益を優先する企業よりも環境や社会、企業統治を重視する=SDGsに取り組む企業の方が長期的な視点ではリターンがあるという考えからで、実際に日本の年金を運用している年金積立金管理運用独立法人(GPIF)もESGに配慮して投資運用しています。
SDGsとCSRは違う?
SDGsは国際的な視点での社会貢献活動ではありますが、CSRとは分けて考えられます。
CSRはCorporate Social Responsibilityの略で企業の社会的責任と呼ばれ、よくある社会貢献活動の事例として環境保護や文化支援などがあります。
SDGsでも⑬気候変動、⑭海洋資源、⑮陸上資源と環境に関する目標はあるのでCSR=SDGsでも良さそうなものです。
両者の違いとしては社会貢献活動に自社の強みや事業内容を活かせるかどうかということがあります。
CSRの活動は例えば、自動車会社が植林活動を行うなど自社の事業と直接全然関係ない活動が多いです。
但し、そういった活動は資金的な余裕が無ければ中小企業にとっては取り組みにくいものにもなります。
対してSDGsでは自社の強みや事業内容を元にした社会貢献活動が求められます。
これは資金的に余裕がない中小企業でも自社のビジネスに直接結びつくことなので取り組むことができます。
先ほどの自動車会社の例で言えば「アクセルとブレーキの踏み間違い防止の技術を開発すること」は自社の事業の延長線であり強みを活かせるとともに
17の目標の一つ、③保健の中のターゲット3.6「2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。」に貢献する取組ともなります。
なので自社の事業領域を確認しつつできることを探すことが大切です。