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光ファイバーケーブルの選定 ポイント

先日ネットワーク構築の相談を受けたので、その中で光ファイバーケーブルの基礎情報をご紹介します。

目次

速いだけじゃない。光ファイバーケーブルの特徴

・長距離伝送が可能
LANケーブル(メタルケーブル)では、100m以上で中継器などが必要になりますが、光ファイバーケーブルは数百m~数十kmまで伝送が可能です。

・大容量のデータ伝送が可能
伝送帯域が大きいため大容量のデータを伝送しても速度低下が起きにくいです。
伝送帯域は車線のようなもので、同じ高速道路でも片側2車線の道路と片側4車線の道路では通常時は同じスピードで走れても車の数が増えると片側2車線の道路では渋滞が起きスピードが低下してしまいます。

・ノイズに強い
電波や磁力のノイズ干渉を受けず、またノイズを発することもありません。ノイズがあると通信速度が遅くなったり不安定になったり、オーディオ音声の質を低下させてしまいます。

・細く軽量で取り回しが楽にできる
LANケーブルよりも細いため配線がしやすいです。ただ、急に曲げると軸が折れてしまうため注意は必要です。

光ファイバーケーブルの選定 ポイント① マルチモード、シングルモード

光ファイバーケーブルの選定には主に3つのポイントがあります。
①マルチモード、シングルモードの確認

モードの違いとは光がどこを通るかの違いで、シングルモードはケーブルの中心部のみを通るバージョンで車で例えるなら高速道路。マルチモードは中心部の周りも複数個所通れる複数車線道路です。
2種類あるということはメリット、デメリットや特徴もあり一般的には下記になります。

マルチモード(MMF)

■向いている
伝送損失が大きいので550m以下の短中距離通信向き。
社内ネットワークの構築等。

■特徴
コア径(軸の太さ)が太いため曲げたりすることに強く、対応ネットワーク機器も豊富で安い。
マルチモードの中にも、OM1~OM5までの5種類のマルチモードがあります。
詳しくはポイント③にて。

シングルモード(SMF)

■向いている
伝送損失が小さいので1キロメートル以上の長距離通信向き。
屋外イベントや大規模ビルのネットワーク等。

■特徴
コア径(軸の太さ)が細くマルチモードよりも高価だが安定高速で長距離まで届けられる。
OS1、OS2のモードがあります。

ポイント② コネクタ形状の確認

②つ目のポイントはコネクタ形状の確認です。

一般的なLANケーブルは接続部分のコネクタ形状は同じですが、光ファイバーケーブルの場合は複数の種類のコネクタがあるので接続機器がそのコネクタに対応しているか確認が必要です。
変換アダプタを利用すれば別のタイプのコネクタ同士の接続も可能です。

またネットワーク機器にSFP(Small Form Factor Pluggable)ポートがあれば、SFPポートにSFPモジュール(SFPトランシーバー)を差し込むことで光ケーブルとの接続が可能です。

画像元:SFPが何か理解できておりません

SCコネクタ

LANの世界標準であり最も一般的なコネクタ。プッシュプル方式で簡単に着脱できる。

LCコネクタ

SCの半分ぐらいの大きさの小型なコネクタ。プッシュプル方式で簡単に着脱できる。

FCコネクタ

ネジ締め型なのでしっかり固定する必要がある際に向いている。

STコネクタ

FCと同じようにしっかりと固定できるが着脱が簡単なタイプ。

ポイント③ ケーブルの長さの確認

③つ目のポイントはケーブルの長さの確認です。物理的な距離だけでなく、ケーブルの種類による伝送距離、インターネット回線の速度も考えておかないと性能を活かすことができません。

マルチモードの光ケーブルには5種類のタイプがあります。OM1、OM2、OM3、OM4、OM5。
数字が大きいほど高速回線に対応した最新型になります。
新規で敷設する場合にはOM4やOM5を選べば問題ありませんが、既存の光ケーブルでネット回線の速度をアップグレードする場合には注意が必要です。

モード TIA規格

呼称

コア径 通信速度/ケーブル長 備考
100M(100BASE) 1G(1000BASE) 10G(10GBASE)
マルチモード

(MMF)

OM1 GI62.5μm 2km 275m 33m 1Gbps伝送
OM2 GI50μm 2km 550m 82m 1Gbps伝送
OM3 GI50μm 2km 550m 300m 10Gbps伝送
OM4 GI50μm 2km 550m 400m 125
シングルモード

(SMF)

OS1

OS2

8μm〜

9μm

数十km 数十km 数十km 1Gbps/

10Gbps伝送

 
参考:通信速度とケーブル長の関係

表の見方

同じ回線速度(縦列)ではOM1よりOM2、OM2よりOM3の方が最大伝送距離が長い。
回線速度が上がるにつれて(横列左→右)最大伝送距離は短くなるので注意が必要。

例えば、1Gbps(1000BASE)から10Gbps(10GBASE)のネット回線にアップグレードするケース。

400mの距離をOM3のケーブルで対応していた場合、1Gbps(1000BASE)の最大距離は550mなので400mでも問題なかったのですが、10Gbps(10GBASE)のOM3に対応する最大距離は300mまでなので性能を十分に活かすことができず、OM4で敷設し直す必要が出てきます。

短距離の敷設、低価格での検討にはLANケーブルも選択に

メリットが多く高性能な光ファイバーケーブルですが、まだ一般的にはLANケーブルと比較すると高価という一面もありますし、オーバースペックになってしまう場合も。
今後は光ファイバーケーブルが主流になってくるかもしれませんが、短距離、低価格でということを考えるのであればLANケーブルも選択肢に入れてみましょう。

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