「社内でストレージを導入するなら、どれがいい?」とお客様に聞かれることが最近増えています。
選択肢として大きくはHDDやNASといった物理的なストレージとクラウドストレージの2種類があります。
物理的なストレージはランニングコストが抑えられる一方で、初期導入費用や故障のリスク、災害時のバックアップ体制に課題があります。
クラウドストレージの場合は、これら課題を解決できますが、ランニングコストがかかったり、セキュリティ上のリスクやサービス終了する可能性が無いとはいえません。
クラウドストレージの代表例としては、Google ドライブやMicrosoft 365(OneDrive)、Dropbox等があります。これらは知名度も高く、導入も簡単で無料プランもあります。
しかし、ビジネス用途において「情報を安全に、かつ柔軟に活用する」視点で選ぶと、あまり知られておりませんが「Box」という選択肢を無視することはできません。
(Dropboxと似たような名前ですが別サービスです。)
Boxは単なるストレージではなく、企業にとっての「情報活用の仕組み」ともいえます。
Boxとは
Boxは、米Box社が提供するクラウド型のコンテンツマネジメントプラットフォームです。
ファイル保存、共有、管理に加え、アクセス制御、監査ログ、コラボレーションまで一元的に管理できる仕組みを提供しています。
他社クラウドとの連携にも強く、柔軟なアクセス管理が可能なことから、世界中で9万社以上が導入しており、日本国内でも、大手企業や教育機関、医療・金融分野で活用が進んでいます。
GoogleやMicrosoft、Dropboxとの違い
サービス | 特徴とリスク |
Google Drive / OneDrive | 自社製品との連携を前提に設計されており、便利だが柔軟性に欠ける。権限設定の管理によっては、情報漏洩のリスクがある。 |
Dropbox | 個人や中小企業向けとして人気。UIが直感的で扱いやすいが、大規模組織での運用や監査機能に限界がある。 |
Box | 他社クラウドやアプリとの連携に強く、アクセス権限の細かい設計、ログ管理、コンプライアンス対応が可能。中立的な立場から、多様な業務に対応できる。 |
Boxが選ばれる理由
Boxは、単なる「ファイルの置き場」ではなく、企業の情報資産を一元管理し、安全かつ効率的に活用するための土台です。
- ファイル、バージョン管理、ワークフロー、外部共有を一つの仕組みで管理
- URL共有時のパスワード設定、期限付き公開、アクセスログの取得、IPアドレス制限などで外部共有も安全
- 金融、製造、医療、教育、法律など高セキュリティが求められる業界でも多数の導入実績
情報の保存だけでなく、「どう活かすか」を意識した設計が、Boxの最大の強みです。
導入前に押さえるべき注意事項
Boxは高機能な分、導入と定着に工夫が必要です。よくある失敗パターンを把握しておくことで、スムーズな運用に繋がります。
- フォルダ設計を複雑にしてしまい、現場が混乱する
- セキュリティを強化しすぎて業務スピードが低下する
- セキュリティ対策目的だけで導入し、現場で活用されない
導入時は、IT部門だけでなく、現場の運用フローや目的と照らし合わせながら設計することが重要です。
また、ランニングコストの把握も重要です。
Boxは主に個人利用を想定している無料プランもありますが、ビジネス目的で利用するならば法人プランが推奨されます。
ランニングコスト目安
ドル換算なので実際の費用は変動する可能性がありますが、目安としては
1,815円~(605円~/月額×最低3ユーザー分の購入が必要)
ストレージ容量無制限の場合は5,940円~(1,980円~/月額×最低3ユーザー分の購入が必要)
になります。詳細は公式サイトご確認下さい。
導入を成功させるためのチェックリスト
以下のような課題や状況に心当たりがある場合、導入を本格的に検討すべきタイミングかもしれません。
例えば、社員数が10名を超えてきた、社外とのファイル共有が頻繁に行われている、あるいは複数拠点での業務連携が必要になってきた場合です。
また、「誰が・いつ・何を操作したのか」を明確に把握したい、退職者のアクセスを即座に遮断できていない、バージョン管理やファイルの誤削除に悩んでいるといった課題を抱えている企業にも、Boxは非常に有効な選択肢となります。
そして、単に導入するだけでは不十分です。Boxの機能を最大限に活かし、業務の中に定着させていくためには、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが成功の鍵となります。
チェック項目 | 内容 |
経営層が導入目的を正しく理解しているか | 単なるファイル共有ではなく、情報基盤としての視点を共有しているか |
現場の声をヒアリングしているか | 実際に利用する部門のニーズを反映して設計しているか |
専任の情報管理者がいるか | アクセス制御やフォルダ設計などのガバナンスを管理できる体制があるか |
トレーニング体制が整っているか | 社内に定着させるための教育・支援体制を用意しているか |
まとめ
Boxは、情報を安全に保管するだけでなく、それを効率よく活用するための仕組みです。
クラウドストレージを「ただの保管場所」ではなく、「企業の情報活用の中核」として考えるなら、情報のライフサイクル・社外共有・セキュリティ・監査・業務効率までを一つで支えるBoxは有力な選択肢になると言えます。
但し、Boxがどのお客様にも万能に使えるかというとそうではありませんし、一つのサービスに頼るのでなくバックアップ策を用意しておくなどビジネスの形態にあわせて対応する必要があります。
IT・DX化にお困りの際はお気軽にご相談ください。
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