ネットマーケティング分野の市場調査データで定評のある専門メディア、米「eMarketer」によると、今ではスマートフォンやタブレットのアプリで様々なものを検索する人が増えているといいます。このことは、GoogleやYahoo!などの大手検索エンジンにとって、売上シェアの減少を意味しています。
報告書によるとアメリカのGoogleのモバイル広告の売り上げシェアは2012年から2014年までで17%も減少したと報告しています。Googleのモバイル広告は2年前では、22億4000万ドルの検索市場のうちなんと82.8%をも保有していました。
しかし、今年の合衆国のモバイル市場は177億3000万ドルという巨額なマーケットで、そのうちモバイル検索広告はその半分にあたる90億2000万ドルであったが、Googleのマーケットシェアは65.7%にまで減少しています。(上図下表)
検索の変化
このような現象の原因として、検索の仕方が変わってきていることが要因だといわれています。
スマートフォンやタブレットの普及により、物事を探す時にパソコンを立ち上げて検索エンジンを立ち上げるという形から、スマートフォンを利用して探すという形に変わりつつあります。
同時に検索の方法も多様化しつつあります。
Googleなどの検索エンジンは、何でも探せ様々な情報が掲載されている汎用検索エンジンと言えます。しかし、どこが良いレストランなのか、今ほしいものをいくらで売っているか、などは簡単には教えてくれません。その際には、レストラン情報や口コミなどが多数掲載されているアプリや、地元のお店や企業を探すアプリ、近くのコンビニを探すアプリなどが利用されます。
この様な変化に伴い、検索エンジンからアプリへという移行が起きつつあるのです。
この様なモバイルでの検索へ移行を示す調査もあります。
ニールセンの消費者調査によると、消費者がインターネットを利用する時間はモバイルでは月平均34時間、これに対しデスクトップでは月平均27時間という結果も出ています。
ローカル検索の上昇
eMarketerの報告書によると、特定地域に関する情報を検索するローカル検索の伸びが著しいことがわかります。(上図上表)
米国を中心に25カ国でサービスを展開している世界最大級の口コミローカル情報サイト「Yelp」
の広告収入の成長率が群を抜いています。Yelp上の地域のお店や企業にに対する検索は今年の成長率が136%、モバイル広告の売上が1億1900万ドルという予想が立てられています。(上図上表)
GoogleやYahoo、Bingなどの広告売上に比べると少額ではありますが、行動が変わりつつあるサインということがわかります。
2016年では、Yelpの広告売上シェアが2012年の3倍強という予想に対して、Googleの売上シェアは64.2%に落ちると予想されます。Googleも、シェアは落ちても売上が減少するわけではありません。過去2年間でモバイル広告は70億ドル近く増加したが、その中でGoogleのモバイル広告の売上は60億ドル近いのです。(上図上表)
物事を調べる際にデスクトップで検索するという行為よりも、身近なモバイルで調べることが多くなっているという傾向にあります。そのことにより、検索エンジンでは無く、必要としている地域の欲しい情報に応じたアプリを利用するユーザーが増えています。この様な傾向は今後日本でも見られることが予想されるでしょう。